2012年

年頭のご挨拶

先日FacebookでAlbert Einstein(1879-1955)のThose who have the privilege(特権、特典) to know have the duty to act.と言う文章が多幡達夫先生の投稿で眼に入って来ました。
 考えてみると(考えてみなくても)わたしはアンドレス・セゴビアの教えを受けておりそれを自身の音楽解釈の発達に生かす事、(つまり自身の音楽のレベル向上)がactionではなかろうかと思い込んでいましたが、何かしないと不可ないのだという事を知らされました。
 それにしましてはセゴビア先生がわたしの前で呟かれた「カナリヤはマネージャーが居ないと啼かない」と言う言葉がふと心に響きます。わたしを啼かせようと言うマネージメントが出現しないし、わたしがマネージメント探しに努力をした事はあるのですが巧く運びませんでした。
 で、わたしに残された為すべき事は後進の育成ですがそれはむりにわたしに習いなさいとは言えないので、楽譜をばらまく事位でしょうか?不法出版、海賊版の楽譜作成に繋がりますので積極的には行えません。弟子達に伝えて行くのが精一杯のわたしの出来るContributionでしょうか?
 でやはり演奏家としての原点に返り自分の演奏を少しでも多くの方々に聞いて頂く事にエネルギーを注がなければならないと思ったりしています。録音または実演です。
 何も考えようとしなかったわたしにこの時、強い刺激を与えて頂きました。
註―昨日、上の文をmixiに投稿しました所、偶然別項の投稿欄に中森良二氏より次ぎの様な文章を頂きました。そこでこの文をmixiと重複を承知の上で改めて此処に掲載させて頂きました。投稿欄もご参照下さい。

2012/1/26-Akinobu Matsuda

2011年

(72回)PROGRAM NOTE(曲目解説)(2012/5/30掲載)
(この解説は演奏者の練習中の心の中でのつぶやき-twitter-でもあり、
私の弟子でわたくしの音楽の理解者達の追加の解説です)

L.S.ヴァイスWeiss ロジー伯の墓にTombeau sur la mort de Mr.Comte de Logy   
 この曲はバッハと同時代の著名な作曲家、L.S.Weissがそのパトロンのアントン・ロジー伯爵の墓に捧げたレクイエムであろうと私は思っています。そして永遠の真理である「生ある物は必ず滅びる」を現しその真理に直面して人間の弱さ、儚さへの嘆きを音楽にしています。昨年、そして17年前の神戸大震災等と大きな自然災害が起こり多くの人命が損なわれました。この曲の演奏は犠牲になられた方々の魂に捧げます。
F.ソルSor 練習曲Etude, Molto moderato Op.31~19   セゴビア先生はソルの無数の練習曲の中から20曲を選んで練習曲集を出版しておられる。その第10番目の曲がこの曲です。この様な曲目が聞く人に喜びを与え、弾く人も充実感を持ってステージで弾くことが当然の様な時代になって欲しいと思います。
練習曲Etude Op.35~22
 誰が名付けたのか「月光」の名で良く知られている。ミゲール・リョベートも彼の残した数少ない録音の中にこの曲をいれている。上記の曲集の第5番目の物です。私はこのような易しい曲がギターのコンサートのレパートリーとして時には取り上げられても良いのではと思いました。
アンダンティーノAndantino
 若い頃一心に弾いていたのがこれらソルの小品集です。(録音の幾つかは50年以上前の「ギタリストへの道程」に収録)アンダンティーノは私がギターを持ちクラシックギターの存在を知って1、2年のある時、ギター誌の主催するコンクールの課題曲になっていた。私は出演(応募)する気は全然なかったが、応募するとしたらどんな演奏が出来るだろうかと、真面目に弾いてみた。何度弾いても自分が満足出来る演奏は出来なかった。ギターを弾く、そしてソルを弾くには本当に年期が要るのだと、そしてソルを弾くと色んな事が身に着くのだと今でも思っています。
*文末に渡辺潔氏によるソルの解説があります。
ポンセ=バッハPonce=Bach 前奏曲ニ長調Prelude in D
 この曲はバッハの名曲として良く知られた曲で無伴奏チェロ組曲第1番の前奏曲です。この組曲全曲はイギリスの元ジャズギタリストで作曲家であり編曲家のジャック・デュアルテがギターソロに編曲している。セゴビア先生が第1曲目の前奏曲だけをポンセのこの編曲を使い、残りはデュアルテ氏の編曲でコンサートをされた事があった。
 ポンセの傑作の一つでこの音楽はポンセの真摯な気持ちでのバッハ礼賛の作品であると言って良いと思っています。つまりバッハの作曲であると思わない方が正しいのだと信じています。
(私の録音は「サウンド・オブ・ザ・ギター3」のトラック6に収録)
M.M.ポンセPonce 小さなワルツPetit Valse
 私の最も好きなポンセの音楽の一つです。
 セゴビア先生はこの曲をギターソロに編曲して演奏し、ポンセがギター曲を作曲する様に勧誘されたとか聞いた事があります。原曲が何であったかわたくしはその話を聞いたときの事を覚えて居ませんが、セゴビア先生が何としてもポンセにギター曲を書いて欲しいと願われての事であったと思われます。
(私の録音は「サウンド・オブ・ザ・ギター3」のトラック7に収録)
南のソナチネSonatina Meridional
第1楽章Campo,Allegretto        第2楽章Copla,Andante 第3楽章 Fiesta,Allegro con Brio      Meridionalは南イタリア。Campoでは南イタリアの田園地方で子供達が唄う民謡らしき唄がそこここに聴こえる。Coplaは歌謡。私は、南国の暑く暗い夜、ジーーーーーと鳴く虫の声が聴こえる様な雰囲気を感じます。Fiestaは祭です。しかし宴果てた後の空しさ、寂しさが強い印象を与えます。この楽章の終曲に近づく所にセゴビア先生かそれともポンセ自身か(それとも2人のコラボか)による二カ所のショット版への追加訂正部分が在ります。この追加加筆は素晴らしく、才能あふれる編作なので、研究者または演奏家の方は調べて取り入れて頂きたい。それ以外にも幾つかは修正、では無く誤記もありますが、それはこの曲に限らずどの楽譜にも在る事です。楽譜は神聖な物であり1音符といえども加筆訂正は許されない、とは単なるペダンティストの妄想である。
 私は、この曲のセゴビア先生のレッスンを受け、その他先生とお話しする時間と機会が沢山在りながら、今にして思えば沢山沢山お聴きしておけば良かった、大袈裟に言えば重要な確認しておくべきであった史実を聞き逃している。でもそれはどうでも好かった事かもしれません。勿論お判りでしょうが、それらは真に音楽演奏に不可欠な重要な事ではなかったからかも知れません。三面記事的な単なるうわさ話の域を出ない事であるかも知れません。それにしてもこの曲への加筆訂正は何時誰が思いついたのか、その時の状況を知りたくて仕方が無い。私の想像ではセゴビア先生の仕業ではなかったかと思っている。
スペイン民謡Spanish Folk songs
聖母の御子Lo Noi de la Mare
(私の録音は「サウンド・オブ・ザ・ギター3」のトラック3に収録)
プラニーPlany
 私はNHK「ギターを弾こう」の最後の講師を受け持つ事になり、その年は奇しくもセゴビア先生の最後の来日中でこの放送が先生の目に留まっていたらしい。その時の番組のテーマにして居たのがこの曲でした。私は一言も放送をしている事を先生に報告して居ませんでしたが、先生から突然お前の番組に出てやろうかとのお言葉を頂き驚きました。NHKの番組担当者の方はそんな大物の出演は受ける事が出来ないと断られました。1982年の8月のことです。
 ちなみに、私はLPとかCDとか先生には出版の報告をした事は在りません。先生が偉過ぎたのです。
(私の録音は「サウンド・オブ・ザ・ギター1」=LPのトラック4に収録)
レオネーサLeonesa
(私の録音は「サウンド・オブ・ザ・ギター2」=LPのトラック3に収録)